「総悟ってさ、彼女居るの?」
外は暗くなったが、まだ帰らなかった。
セッティングも、もうあと少しで終わる。
今さっき、自販機で買ってきたブリックを飲んで、休憩していた。
「居ないですぜィ?」
「そっか、」
「は、俺の事好きなんですかィ?」
「・・・・・・うん、好きだよ」
「・・・」
「あ、」
何言ってんだ、アタシ!と気付いたときにはもう遅く、
何気にあの流れで告白してしまった。(様な気がする。
「なんか、ごめん」
「いやいや、」
「そーかも、知んない」
「何がでィ?」
「総悟の事、好きかも知れない」
「なんでィ、そりゃァ」
「よく分かんないんだよね、好きとか。 始めてだから」
「・・・」
よくよく考えれば、
総悟が他のクラスの女子と一緒に居ると、哀しくなるし。
朝、もう隣の席じゃないからオハヨウをしてくれないのも、悲しい。
ましては、席が離れちゃったから喋りあうことも、減る。
それに、それに、それに・・・・。
言い出せば、吐き出せば、止まることをしらない、心のモヤモヤを言って見た。
あぁ、アタシ、何言ってるんだろう。と心では思っても、口が止まらない。
「俺ァ、」
「…ごめん、こんな事言って。」
アタシは我に返り、一生懸命総悟の背中押した。
途中、総悟の手から落ちるブリック。
返事を聞くのが恐くて。
「後は、アタシやっちゃうから、総悟は帰って良いよ!」
鞄を押し付けて、総悟を廊下に閉め出した。
(崩れ座り込んで声殺して大泣きしているアタシに、この風景は似合わない。)