がたっ、と後ろ側の教室の扉が開いたとおもったら、締め出したはずの総悟だった。
「はいってくんな!」
「・・・そりゃァ、ないですぜぃ?」
見んなよ、泣いてるってのに。
見んなよ、あほらしい女だって言って、笑えばいい。
何時ものように、からかってくればいいのに。
「の気持ちに答えられねぇが、の傍に居ることは出来まさァ」
「もう、優しくすんなよ…」
そんなに優しくしたら、もっともっと、もっと切なくなるじゃん。
もっと、もっと、もっと愛おしさが増すじゃん。
「総悟が帰らないなら、アタシが帰る」
「じゃぁ、装飾はどうするんでィ?」
「アタシ、明日朝早く来るから、大丈夫」
なるべく、顔をうつ向かせて。
泣いた顔、絶対ひどい筈だから。
傍に置いてある鞄を引っ張って、一生懸命、教室から逃げるようにして、走った。
「しんすけっ・・・」
(援けてよ、助けてよ、助けてよ。 晋助ッ!)