目線に気付いても、後ろは振り向かなかった。 だって、目の前に居る敵に斬られてしまうから。 ジロジロと見られるのは、気分が悪い。 アタシは、意を決して、叫んだ。 「後ろでジロジロ見てないで、助けてよ!」 「え、やだ。」 「・・・助けろ、コノヤロー! こちとら、今にも死にそうな思いで戦ってんじゃァァァァアア!!」 ため息が少し聞こえた。 それでも、後ろの男(声を聴いて分かった)は、 アタシを助太刀してくれた。 無駄の無い刀さばきで、 目の前の敵をバッタバッタ殺していった。 助かったと思い、ヘナヘナと地面に座る。 息が上がって、苦しい。 吸う息は、血の混じった不味い空気。 アタシは、目の前の男を見た。 「何してんだ、オメー。 こんな所で」 「此処に居るんだったら、目的は皆同じじゃない」 「違いねェな」 「・・・」 「ほら、立て。 天人が来るぞ」 「・・・あ・・・ッ!」 翌々相手を見てみれば、最近有名な白夜叉だった。 髪の毛は白色だし、着てる服も白だし。 見事に返り血なんて、1つもついてない。 「し・・・白・・・夜叉?」 「あ? あぁ、最近そう呼ばれんな」 「・・・な」 「な?」 「生言って、すいやせでしたァァァァア! あの、白夜叉さんとはつゆ知れず! 何か、コノヤローとか 冒頭で暴言を吐いてる始末だし・・・」 「・・・え、あ・・・何言ってんだ、お前」 「いや、あの、ほら。 先輩だし。 白夜叉だし。」 「・・・ほほォ・・・頭が上がらないと」 「え・・・あ、まぁそういう意味かな」 「じゃぁ・・・」 「・・・ハイ? 自害? 自害しろ、ですか?」 相手は座り込みアタシの顔をうかがった。 得意げな顔は、アタシに取って恐怖以外の何物でもない。 肩を持たれ、ニヤリと笑った。 「お前、料理できる?」 「・・・は?」 「寺子屋でよォ、料理できる奴、 俺とヅラを抜いて誰も居ないんだわ」 「はァ・・・(汗」 「大所帯だし、とても2人じゃ時間内に作れねェ」 「それで?」 「だから、料理できるかって聞いてんの」 「出来ます、多少なら」 「じゃぁ」 「・・・(ゴクン」 アタシは、つばを飲んだ。 何を言うかは知らない。 アタシは、口をポカンと開けて、相手を見た。 「俺と一緒に来ねェ?」 |