腹の辺りが、赤色に染まった。
痛みは引かず、ギリギリと脈を打つようにして、傷は痛い。
なぁ、俺、死ぬんだよ。
最後には、の笑顔が見たい訳でさ、
泣き顔なんか見たくねェんだよ。




霞む、視界。 の泣き顔だけは、自棄に目に映った。


きっと、俺は誰かに尋ねられた。
生まれ変わってまた出会うなら、誰が良い?って。




そしたら、俺はを選ぶんだ。
そんで、俺はを選んで、に出会った。
偶然? いや、必然だ。
同じ場所に、同じ時間。 またお前と俺が出会えるように。



続けて、ソイツが俺にまた聞く。
もしも、生まれ変わるなら
腕も、足も口も耳も目も、2ずつつけてやるって。


だけど、俺はお願いしたんだ。
口は1つだけで十分だって。 何でか知ってるか?
俺が一人で喧嘩しないように。
とだけキスができる様に。



忘れたい。
でも、忘れない。
お前がココに居ないだけなのに。



ソイツはまた、俺に話しかけた。
今度は、死なないように。
一番大事な心臓は、両胸につけてやるって。




また、俺はお願いしたんだ。
恐れ入るがこの俺には、右側の心臓は要りません。ってな。
俺に大切な人ができて、ソイツ抱きしめる時初めて
2つの鼓動がちゃんと胸の両側で鳴るのが判るように。



左が、俺の。
右は、の。


一人じゃ、どこか欠けてるように。
一人でなど、生きていかないように。





そういえば、最後にもうひとつだけ。
涙もオプションでつけるってよ。
無くても全然支障は無いけど、
面倒だからって付けない人も居るってさ。
どうする?って、俺に聞いた。



そんで、俺はお願いしたんだ。
強い人より、優しい人に、成れたら良いなって。
大切って何だか分るように。
守るって何だか分るように。


俺は、そっとその涙を選んだ。











最後に、ソイツはまた俺に聞いた。

今の願い事、一つ言えって。











そんで、俺は願うんだ。












生き返って、を抱きしめたいって。

















俺はソイツに聞いた。



なぁ、どっかで会ったこと、ねぇか?


そしたら、ソイツは、こういった。





君の思う人。

010709

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