また君に逢えるのを楽しみに待って











あの日以来、は、来なくなった。
プツリと、音がしたように、一瞬にして崩れた、俺等の日常。
俺は、当たり前の様に、つまらなくなった。
遊ぶ相手が、いない。 話す相手が、いない。
それは、何よりも耐え難い、こと。 いっそのこと、死んじまったら、楽かもしれないけど、愛刀が無い。





地面に、丸を描いて、それを飛び越える。(ケンケンパ、ケンケンパ。 つまらねェや。
そんなつまらない一人遊びを、繰り返していた。(一人増えれば、面白い遊びなのに。
何時もの様に、鳥居の上に座ったり。 階段に座ったり。
何度も、何度も、一人で見る沈む夕日は、同じように見えて、つまらない。(アイツさえ居れば、毎日違うのに
















つまらない遊びをしていたら、向かい側から、子供が手を振ってきた。
俺は、そいつが俺の事を見えるんだと、思い。 手を振り替えした。








それでも、そいつが手を振ったのは、俺じゃなく。
俺の後ろに居た、他の子供だった。
そいつは、また俺の体を透き抜ける。




ああ、俺は透明人間。






そして背後で、交わされる会話は、残酷。













「ねぇ、知ってた? あの、余所から来たって子。 引っ越すんだって」
「え? 本当?」
「うん。 孤児院に行くんだって。 隣村の、でっかいところ」





























































「ひさしぶり!」
「おっ! 久しぶりじゃねェか!」













次の日、は、何時もと変わらぬ笑顔で、何時もの場所に来た。(何よりも、安心。
俺は、小枝を使い、地面に落書きをしていた顔を上げた。(ほら、俺は元気だったぜ?












〜!!!!」
「うわッ!」
「ほれ! こっち来い!」
「ちょっ! まって、ぎんとき。 伝えなきゃいけないこと、あって、来た」
「・・・」(うん、知ってた
「あたし、孤児院行くんだ」
「・・・」(一人になることを望んでないだろ?
「会いに来てくれた、院長先生は優しい人だったし、あの家から出られるから、なんていうか・・・」
「・・・」(ああ、言うんだろ? 其の言葉を
「あたし、嬉しくって!」
「・・・」(ほら、言った。







俺は、の手を握ったまま。
お前の伝えたい事がなきゃ、此の侭何時ものように、連れ出して遊んでいたのに。
俺は、一歩よりも前に居る。
は、一歩俺よりも後に居る。







ああ、置いてゆかれる。
俺が此処に居たことを知っている奴が、俺を置いて行く。
俺は、馬鹿だ。
はいつまでも、子供じゃない。(子供じゃなくなったら、俺の事が見えない。















天涯孤独なのは、俺とだけかと思ったのに。













天涯孤独なのは、俺の方じゃねェか。














耐え切れなくなり、手をそっと離し、俺は走った。




























































離れる事を告げられて、3日後。
が、また何時もの笑顔で、何時もの階段に、来てくれた。





3日の間、俺の頭の中に回る思考は、
もう、行っちゃったのか? とか、
行く事を考え直してくれねェかな。 とか、
そんな、事ばかりだった。(ああ、考え直してくれれば、良いのに。














「かくれんぼ、しよ?」
「・・・」
「いーち。 にーい。 さーん。 あたしが、鬼やってあげるから。 はやく!」
「・・・」
「よーん。 ごーお。 ろーく。 なーな。 はーち」














俺な、本当はさようならが出来るんだ。
ただ、俺の姿が見えなくなって、




      忘れられる事が、つらいんだ。














いつまで、数えているんだろう、数字を。
かれこれ、15まではいった。
それでも、俺は小さい背後から、離れなかった。







「ぎんとき見つけるなんて、簡単だし」
「かくれんぼになってないじゃん!」







何時かの会話が、鮮明に耳に聞こえる。












俺は、ギュッとを、抱きしめた。
俺が抱けるのは、お前だけなんだよ。
きっと、これからずっと、其の先も。 お前だけなんだよ。









腕に伝うのは、の涙。









俺は、そっと離れて、かくれんぼの続きをした。




































____________________ブロロロロ



___バタン












「ああ、ちゃん。 此処に居たんだ」
「・・・うん」








なぁ、俺には、お前が確り見える。
でも、お前には俺が見えないだろう?
何処に隠れたか、ほら、今日は見つけられないだろ?









今日だけは、俺の事、見つけられないだろ?























「ぎんときー! もーいいかい?」









もういいよ。 そんな返事は、しない。
ほら、コレが俺らの さようなら だ。

















「何を言ってるんだね? 」
「なんでもない」




































またあなたに逢えるのを楽しみに待って
さ よ う な ら

































終焉です。
元ネタ;加納るり からすら
一部、脚色、有。
090404