戦最中に、死んだ俺。 雨の中、視界は最悪。 白夜叉なんて、嘘っぱち。 どうせ、俺は、刀一本で、死ぬ人間。 結構、俺って脆いもんだし、それは人間だからと片付ければ、役に立つ。 便利な論理だなとか、思っても、そう言い訳する相手は、何処にもいないから、意味は無い。 目が覚めると、俺は生まれ故郷に居た。 何コレ。 走馬灯? なんて、アホな思考が通じるのは、ヅラでも無理だろう。 気付けば、俺は、木の上で座ってて。 村を見渡していた。 俺の座ってる木の上から見える。 神社の鳥居、その階段に女が座ってた。 どうみても、子供。 9歳ぐらいの、小さい女。 此処も、雨が降ってる。 寒いのに、傘も持ってない。 濡れるのに、何もせずボーっとしてる。 俺は、此の侭だと風邪を引く、そうおもい、そいつの頭よりでかい葉っぱを見つけに歩いた。 「ま、葉っぱでも、頭に掛けとくか。」 「だれ?」 「あ? ほー。 お前、俺が見えんのか?」(俺、死んだんだぜ? 「うん」 「そっか」 「・・・?」 「ぎんときっつーんだ。」(ああ、お前だけは俺が見える。 苗字は、名乗らないでおこうと、思った。 それは、昔、此処で俺が悪さをしていたからとか、そう言うんじゃない。 だけど、何故か。 苗字は言わないようにした。 理由なんて、無い。 本心のまま。 ◆ ソイツは、昼ごろを過ぎると、何時もその階段に居た。 目の前を通り過ぎるのは、村の子供。 そいつに、話しかけることも無く、通り過ぎる。 足の上で、頬杖をついて、ソイツは、いつも其処に居た。 俺は、村の子供にも声を掛けてみたが、聞こえないらしい。 俺が、見えないらしい。 何故か、手をバサバサと振れば、飛べるし(なんだ、コレ。 服は、全身真っ黒 黒助だし(お陰でよく、銀髪が映える。 足元は、履き難い下駄(何年ぶりだ? 下駄なんぞ。 ソイツを、木から見下ろした。 小さい体に移る、紫の痣。 いっつも、遠くを見て居る、それは変わらない。 時刻は、もう夕刻。 俺は、こっそりソイツの後ろに降り立ち、声を掛けた。 ________カラン 「おじょーさん、俺と一緒に、遊ばんかい?」 僕は透明人間さ。 きっと透けてしまう。 同じひとには判る。 好きなひとやものなら有り過ぎる程有るんだ。 鮮やかな色々。 毎日染まる空の短い季節。 真っ直ぐに仰いだら夕闇も恐ろしくないよ |