そーっと晋助の背後を除けば、持っていた徳利を投げた銀ちゃんがそこにいた。 もちろん、その黒く光っていた徳利は粉砕。 その粉砕が障子に当たった時に跳ね返ってきたであろう破片のせいで、頬から血が出ていた。 「銀ちゃん・・・、何してんの?」 「気でも狂ったんだろ、おい、。 早く次の牌回せ」 「・・・う、うん!」 その目には、何も映っていないかのようだった。 ちらりと前髪の隙間から見える目は、虚ろげだった。 今までに、こんな事があっただろうか? それでも、牌を急かされアタシは、視線を戻した。 「あっ、いい札じゃんっ!」 「負けるかっつーの、」 「とか言いながら、今さっき負けたよね。 5千円の借金だよ〜、晋助」 「ウルセー」 ゆらり、ゆらりと晋助の背後に人影。 部屋が暗いせいで、誰だか分からないが、晋助の背後に居るのは、一人だけ。 そう、銀ちゃんだけだ。 「ぎん、ちゃん?」 その目は、何を写してんの? 「少しだけ、殺し合いに付き合えや、そこの二人」 アタシの知っている銀ちゃんは、何処に居んの? |