「銀ちゃんの所為でソファぶっ壊れちゃったじゃん!」 「避けてなかったら壊れてたのは何!? それはマイボディ!」 「銀ちゃんが避けるから、壊れたんじゃん! ソファ!」 「俺の所為かよ!」 暑い万事屋の中、暑苦しく叫びあって喧嘩した。 クーラーは勿論無いし、神楽に扇風機も壊された。 些細な言い お互い背中をくっつけ合わせて、しらを切る。 何が原因かも分からない。 たぶん、忘れてしまうほど下らない事なんだと思う。 無言になっても、部屋の温度は変わるわけでもなく。 俺等はただ、だんまりだった。 小さな声でお前がバーカと呟いた。 聞こえてんぞ、小さい声でも。 俺の耳は地獄耳だからな。 蟻んこの声でも聞こえんだよ(嘘だけどよ、 そのバカという言葉に、俺は悪かったと、謝罪の言葉を返してみた。 ピクリとお前の肩が動いたのが背後から伝わった。 あ、反応してくれた? 聞いてくれてた? 「反省した?」 「しましたー」 「うん、じゃぁ良いよ」 「・・・」 まぁ、何に怒ってそんなにも口論していたのかは忘れたが、まぁいい。 お前の機嫌さえよければ、俺はそれで満足だ。 「おい、」 「ん?」 「背中合わせてくっついてんのもどうかと思うし、」 「うん、」 「アイスクリーム、買いに行きませんか、お嬢さん」 「あ、今のもう一回言って!」 「よし、じゃぁ行くぞー」 「あ、無視すんだ、ソレは」 俺は立ち上がり、お前の手を握るんだ。 アイスクリームは、お前がバニラで、俺がイチゴ。 二つ一緒に食べたらきっと、イチゴミルクみたいな味がすると願って。 暑い町をお前と歩こう。 ただ、今ここにいるお前が、 これからもずっと俺の傍に居れば、こんなに喧嘩する日も耐えて見せようと、思える。 |