大人になるまで、活きられないと、伝えられた。


活きられない。17まで、どうだろうか、難しいね、疾患だから、
そう、俺に告げられたとき、言葉を理解していないの分も、心に大砲を撃たれた気分。


帰り道、温かい手を握り、道を歩く。
明日もまた戦争。多分、いや、絶対次の日も。 次の日も。
年中無休、抗戦状態。


支給も、状況も、何時になったって、良い方向に向かない。
足りないものばっかりで、不利な状況ばかりで、否になる事だって、いつもだ、けれど。

周りにある、笑顔、少しの平和を守りたいと思って、こんな汚い剣を握った。





「おまえ、幾つだっけか?」
「あたしー? 16だったような?」
「そっか、」
「ねぇ、何の病気なの?」
「さぁな、」
「銀ちゃんの事でしょ!自分で分からなきゃ、だめだよ!」
「はい?」
「だって、今さっき銀ちゃんも、アタシと同じ。 お医者さんのお部屋一人で居た」
「あー、うん、そうだな、うん。 一応甘い物気を付けて、だってさ」
「いちおう?」
「なんつーか、まぁ、今一度私生活を見直しましょうって事!」

俺は、わざと難しい言葉を使い、に会話の興味を失わせたら、案の定、は興味が無くなったらしい。
無言になった。

と、思ったら、の手に力が入らなくなっていた。

「どした?」
「ちから、入んないや、ゴメン。大丈夫だよ!銀ちゃんの手は、はなさないから!」
「ん、」




俺は、しゃがみ、を負んぶする体制を取った。



「銀ちゃん、疲れてるでしょ? 自分で歩けるもん」
「あのなぁ!」


実で実は、めちゃくちゃ疲れている。
夕方頃、戦場から帰り、の様子が可笑しいと一緒に医者へ来た。
のは良いが、夕方まで開く医者なんぞ、家付近には無いので、肩道1時間半の遠いしヘボい診療所まで来たのだ。



「俺は大丈夫だから、辛い時は俺を頼れ」
「いいもん、」


そう言って、走って行ってしまった。

そんな後姿を見ていたが、前方10mの先で派手に転んで泣いていた。

俺は、クスリ、と小さく笑いその小さな背後に寄り駆けた。

























その日から、

ガクリ、と膝を折るように倒れる姿を、良く見るようになった。

処方されている薬は効かないほど、体が壊れていくのを
は都合の悪い現実から目をそらすように笑って泣きたい状況を堪えていた。


毎晩聞く、どうしてかな、なんでかな、おかしいんだよ、とヅラに相談する姿。
俺が横入って、直ぐ好くなる、と言っても、仕舞いには信じてくれなくなった。
















いつからか、薬ものんでくれなくなった。
高杉が薬を飯の中に仕込んで以来、飯も食わなくなった。
辛うじて、林檎やミカンを食べてくれるようにはなったが、あらゆる病の免疫はつかず。
風邪を引き、仕舞いには高熱を出した。





「頼むから、薬、飲んで、寝てくれよ、な? 良い子だからさ」


俺は、薬を手に持ち、縁側で朝日を見るに寄った。









「毎晩、夢を見るんだよ、」
「、?」
「この前、お医者さんのお部屋に言った帰り、銀ちゃんの手、握って、力が出なくなったときから、始まる夢」




「力が、出なくなってね、銀ちゃんが見える景色、黒くなんの」


銀ちゃんが居る景色、見えなくなるんだ。

銀ちゃん、いつも夢に出てくるのに、今度は見えなくなる夢を見るんだよ?




そう、言った。
膝の上で、手の指を弄りながら、寒そうに手を摩りながら。





俺は、返す言葉もなく、の頭を撫でた。
熱があるはずなのに、今は冷たい頭。
じっくりと顔を見れば、大粒の涙が綺麗な瞳から流れている。





「ぎんちゃ、」
「大丈夫だ、何もかも上手く行く」
「ぎんちゃ、」
「喋るな、お茶飲むか?」

持って着たお茶を気分転換に勧めたのだが、首を振って、は断った。


「聞いて、」
「聞かない、」
「きいてよ!」


久しぶりに聞く大声は、涙声だった。



銀ちゃんに、出会えてよかったよ。
俺もそう思うぜ。
だってね、目に映る景色は銀ちゃんが居ると、もっと綺麗なんだ。
あらぁ?そうだったんだ。銀さん知らなかったわ。
それでね、銀ちゃんの手、何時も温かい。
ありがとさん。
だから、銀ちゃんは、きっと大丈夫。
何が大丈夫だ。お前が居ないと何もできない餓鬼だぜ?
銀ちゃんは、大丈夫だよ。 何もかも上手くいく。
そうかぁ?




うん、大丈夫。






が言うなら、平気そうだな?






うん、だからね。




何だよ。











最後に。1個。アタシから、








何?何?







銀ちゃんが居る世界で、銀ちゃんが居る景色が黒くなっても、もう、恐くないよ。



















ありがと。




















































俺はな?。  お前が居ない世界で、お前の居ない背景が黒くなるのが、一番恐いんだよ。









君の十六の春














2011/02/08
死ネタ、すきだよ。