明かりも無い、更地。
雨は何処かの、誰かさんが、何処かで、大泣きしているかのごとく降り始めた。
なぁ、。
もう直ぐで、夏が来る。
雨ばかりが降る梅雨の今とは違って、綺麗な空が見れる夏が来るんだ。
毎年のように、七夕をやるつもりだったのに。
これじゃぁ、何処に織姫が行ったのか、アイツ等に説明しなきゃならなくなるだろう?
夏はきっと朝から蝉の声が煩いから、お前や高杉、ヅラに起こされなくても俺、自分で起きられるよ。
そんな事言ったら、この俺にお前と言う存在は居なくても良いように聞こえるかもしれないけれど、
実で実は、お前が居なきゃ俺は、何時まで経っても天の川で独り待つ彦星になっちまう。
去年は、綺麗な空だった。
今年は、どうかな。綺麗だろうか?
七夕には、天の川が見えるはずなのに。
織姫、彦星。 毎年同じ話を、知っているのに確認し合うように語るはずなのに。
天気を予報したわけでは無いのに、今年は綺麗な天の川を見られるという発想に、少しも楽しさを感じなかった。
「冷てェのな、お前」
血まみれで、俺の腕で綺麗に笑うお前は、絶世の美女。
俺が今まで出会って来た人の中で、
これからも、絶対に、
お前のような人は現れないよ。
銀さん、誓えるから、こんな事言えた俺に、祝福の言葉を頂戴よ。
こう見えて、俺、な? 誉めて伸びるタイプだからさ、
「、、、、返事なんて、できないもんな。」
言いそびれた台詞が、沢山あるのに、
それを伝えられない。
こんな、死ぬ事よりも苦しい事が、世の中にはあったんだ。
お前が居ないと、ダメだよ、俺ァ。
この先、どんなに俺を好きになってくれる人が現れて一緒に天の川を見ても、
この先、どんな偶然に出会っても、
お前と一緒に見た天の川以上の素敵な景色なんか、
現れるはず、無いんだ。
「返事しろよ、、、」
二言目には、俺を叱るような、
何の反応も示さなきゃ、俺、どうしたら良いか分かんなくなるだろ?
冷めた、お前の身体は、雨が体温を奪い去って行った。
此処は、雨が降るとき、視界が悪いんだ。
嫌な煙が立ちこめる此処に、お前がずっと居るのは嫌だから
俺、お前の事、今日は背負って帰るよ。
このとき、俺が抱え込んだものは、孤独と、不安と、お前が居ない世界で生きてゆくその覚悟。
君と最後に見た天の川は、
星が今にも笑顔で俺の隣に座るお前の手元に降るようでした。
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2011/02/18