朝、三時。
銀ちゃんが、病室に忍び込んできた。







点滴を無理やりはがされた。
イテェ!と叫んだら、口を塞がれた。

「静かにしろ!」
「乱暴すんな!」
「悪ィ、悪ィ」
「大体、何処行くんだよ!」
「海だ、バカ」
「海ィ?」
「花火、花火」

何で花火?と聞いたら、やりたいからと突拍子も無い事を言い出した。
ヘルメットがうまく被れないから、銀ちゃんに手伝ってもらって、
スクーターに跨った。

「雨ふってたじゃねーか、」
「うん」
「昨日の夜やっと晴れてよォ、だから、花火」
「へー」

銀ちゃんに手渡された花火を備え付けられたロウソクで火をつけた。

色とりどり。
焦げ臭い。

「綺麗だろ」
「・・・うん、」
「ほれ、もっと持て」
「うわ!」

手渡されたいっぱいの花火を一緒に持った。
色が混ざってる・・・。

「ぎんちゃん」
「なに?」
「ありがと」
「なにが?」

よく分からないけれど、何故か心が晴れたんだ。

花火が終わったら夜の海を少し見て、
すぐに病院へ戻った。看護婦さんに見つかったらヤバイし。


「今度は、退院してからな」
「うん」
「そしたら、何の心配も無しに思いっきり遊べるからよ」
「うんっ」