朝、起きるのが遅かった副長を起こしに、アタシは朝ごはん;マショマロを持参して部屋に向かった。
そっと襖を開けると、まだ寝てる副長。
アタシは、傍によって、正座した。
つんつんと、頬を突いても、起きる気配が無い。
ゆさゆさと、肩を揺らしても、起きない。
机の上にあった、タバコ2本を鼻の穴に挿しても起きない。
アタシは、最終手段として、両の目の上に1個ずつマショマロを置いた。
「お、、、おきない!」
そういえば、部屋が散乱してる。
書類、散らばってるし。どれもこれも、昨日アタシがやったのと同じ内容のもの。
アタシは、部屋からでて、総悟の部屋に急いだ。
「総悟!」
「何でぃ!」
「副長が死んだ!」
「よっしゃぁあああああ!!!」
そう言って総悟は反対側の障子から出て行き、メガホンを持って叫び散らした。
「うるさいなー、もう」
アタシは、力抜けて、座り込んだ。
きっと、夜忍び込まれて、死んだんだ。毒殺されたんだ。
せこむ、って奴をしてないから、侵入者が着たんだ。
だから、神楽ちゃんが言うように、『せこむは偉大アルよ、うちの家ないけど。』って。
大きい家だから、必要だったんだ。
思い出すのは、副長との日々。
手取り足取り、剣筋を教わったこと。
副長の短髪になれず、毎日笑ってたこと。
マショマロ奪われたこと。
思い起こせば、恐い副長しか思い出せない。
恐ろしや、鬼の副長。
「誰が死んだ、だ? ゴルァ」
後ろを振り向くと、マショマロもった副長が、背後に ゴゴゴゴゴ という効果音をつけてやってきた。
「あり?」
「あり?じゃねぇ! 目の上にマシュマロ置き捨てやがって! オマケに鼻にタバコ刺すわ、アホか!」
「副長生きてたあああああ!!!」
勢いあまって、副長の足元に抱きついた。
よろけて、副長はそのまま前に倒れこむ。
「だって、何しても起きないから、起こそうと思って試行錯誤で頑張ったんです!」
「アホだろ!」
◆◆◆
前日の疲れが残って、布団で爆睡してた。
ヤバイ、起きなきゃいけないのに、起きれない。起きたくない。
だから、本能のまま、布団から出ずに、寝た。
うっすらと目を開けて、時間を確認したら、既に11時
まだ眠い俺は、目を閉じて2度寝。
障子から、光が漏れる。そんなのも、気にしなかった。
◆◆◆
「という事だ、」
「なんだー。心配させんじゃねーよ、コノヤロー!」
「大体、テメェの所為だろ!」
「何で!?」
ものすごく驚いた顔。 元凶はお前だろうが。
「今日提出の書類に全部落書きしやがって、オマケに全部ひらがな!
松平のとっつあんに、そんな書類渡せるか!」
「あー!だから、書き直したんだー」
アタシは納得がいって、手のひらを、ポンッと叩いた。
「誰が死ぬかバカヤロー」
「ですよねー」
「死ぬわけねぇだろ」
「でも、人間ですよー?ヒーローじゃないんだから、」
「死なねぇよ、俺ぁ」
「へー、すごーい」
「お前の面倒見れんのは、俺だけだろ」
「、、、、っ!こっ子供じゃないもん」
「じゃぁ、何で大事な書類に落書きすんだ」
「それは、一種の、気の迷いで」
「ひらがなは!」
「それは、、、なんででしょうかね」
「すっとぼけんな!」
「あでっ!」
俺は、怒り任せに拳骨での頭を叩いた。
「えへへ!」
「えへへ!じゃねぇよ、ったく、、、あー、腹減った!」
俺は、起き上がり、総悟の部屋を後にした。
「でも、」
「あ?」
俺は振り向き、まだ座ったままのを見た。
「副長生きててよかったです!」
「そーかい」
「はい!」
「、、、飯食ったか?」
「昼ごはんはまだです!」
「一緒に食いに行くか。」
「外で!?」
「あたりめーだろ、今食堂に行ったら、総悟に殺されらァ」
「ですねー」
「何食いたい、」
「ほっとけーき!」
、、、朝っぱらから、甘い物売ってる店に行くつもりは無いが、
が食べたいんだから、仕方が無い。
「今日だけな」
「えー!けち!」
「じゃぁ、一人で行け」
「それは、こまります」
「いけんだろ。今日は許可してやっから。倒れたら、山崎にでも探しに行かせるし、
「副長がいないんじゃダメです」
「、、、」
「副長におごってもらうから、美味しいんです」
「、、、あそ」
「はい!」
「早く用意しとけよ、門で待ってるから」
「はい!」
俺は、足を進めた。
意味分かんねぇ。俺が一緒に居るから、おいしいとか?そういう意味か?
大体、アイツが、好きだとか、恋だとか、そんな感情知ったこっちゃねぇんだ。
そんな感情、あるわけ、、、、
「ねぇか」
背後から、確り顔洗ってくださいね!と、お母さん染みた事を言われて、そんな思考がぶっ飛んだ。