「銀ちゃん、助けて!」
行き成り、玄関先からの叫び声が聞こえるもんだから、すっ飛んだ。
「どーした!」
「銀ちゃん、何してたの?」
「トイレ、」
「ズボン着て」
「下半身の衣類を着用するときは、穿くって言うんだぞー」
「良いから早く、銀ちゃんのパンツ恥ずかしい」
「そうか? 可愛くね?」
「副長のがかっこいいもん」
「おまっ! 見たことあんのかよ!」
「あるもん! きゅーぴーがいっぱいのパンツ!」
「え、、、」
「あれってね、きもかわいい、って言うんだって。女中さんが言ってた!」
「あそ、」
冷静になり、俺はズボンを穿いた。 コイツ、仮にも女だよ。
そういえば、俺、国家公務員の女性にパンツ一丁ってヤバイよな。
副長にバレたら、俺、まもなく半殺しよ。
◆◆◆
「、今さっきのこと、副長に言うなよ」
「いわないもん、だって出てきたこと秘密だから」
「許可もなしにまた抜け出したのか。」
「今日お休みだよ」
「あそー。 んで?どーしたよ」
俺は、熱いお茶を差し出して、話しを聞く体制になった。
「今朝、女中さんが、副長の部屋にいて、副長、起こしに行こうと思って、」
どんだけテンパってんだ。ちゃんと喋れてねぇよ。
「あらまー、夜這い?」
「何それ! 虫!?」
「いや、違うけど…。 んで? それがどうした」
「なんか、一緒に居た。」
「それがは嫌なわけ?」
「うん、だって、一緒に居たんだもん。 副長、笑ってた。」
「一緒にってったって、総一郎君も、ゴリラもお前も、いつも一緒だろ?」
「総悟と局長は良いんだもん。一緒に居ても、怒らないもん」
「、、、」
「あの人は、違うもん」
「、、、」
「そんで、胸が痛いから、お医者さんに見てもらいに来た」
「サン? 俺、医者じゃないよ」
「銀ちゃんはそこらへんの医者よりも、強いもん!」
「お医者さんは必ずしも強くなくても良いんだよ!?!?」
どういう教育を受けてんだ。と思った。
だけど、は真剣らしく、泣きそうな顔をしてる。
「まぁ、なんだ。 どこが痛んだ? 頭?」
「此処」
そっとが添えたのは、胸。じゃなくて、まぁ世間で言う心がある場所だった。
「どう痛い訳?」
「ぎゅーってなってんの。凄く痛いよ?マショマロをぎゅーって、潰した時のマショマロの気持ち。」
「いや、マショマロの気持ちはわかんないけど、、、取り合えず深呼吸してみ?」
すーはー、といわれたとおりには深呼吸。
俺はそれを見てた。
一生懸命吸い込んで息を吐く。
誰か、一緒に居るのが嫌って、それ、嫉妬じゃねぇか。
厄介だなぁ、ったく。 大串君は何をやってんだ。
あぁ、すれ違い?
コイツも、コイツで色んな感情知らないし、恋だの恋愛だの、未知の物。
「わかった!」
が急に、閃いた様に言った。
「おお!わかったか!」
それ、恋っつーんだよ!
「病気だ!アタシ!」
「あ?」
「心臓病だよ!心臓痛いもん」
「え、や、ちが、、、」
まぁ、お前が手を置いた場所は確かに心臓がある場所だが、違うぞ、それ。
「ちょっ、!!! 落ち着いて!! そんな病気じゃないから!」
「え!?じゃぁ、なに!?」
「恋だ、恋!」
「鯉!? の身体のなかに鯉が居んの!?」
「イントネーション!発音! 違う!!!」
「、、、こい?」
「恋。」
「、、、うん、恋、それで、どうすれば治る?」
「副長と一緒に居れば、大丈夫だ」
「ここ痛くならない!?」
一生懸命、身を乗り出して聞き入るは、可愛い。
未知の物に出会って、興奮してんのか、
はたまた、頭の中に、また新しい言葉のボキャブラリーが増えて喜んでんのか。
いや、両方、か。
「お医者さんが言うんだから、間違いありません!」
「さすが銀ちゃん!」
「だろ! そんでもって、いつか大串君に、大好きです!って言えば良いんだよ」
「好き?」
「そう。 一番、大事なときに、好きって言ったら、きっと大串君は笑ってくれるから」
「ほんと?」
「ほんと、ほんと。」
「好きって何!?」
「お前が、マシュマロ好きなように、お前自身は副長が好きなんだよ」
「、、、うん、好きだよ!マショマロと同じぐらい!」
「それを、好きって言うんだよ。」
「へぇー」
「いつか、分かるんじゃね?」
「じゃぁ、愛してるは!?」
「ぶっ!」
俺は、吹いた。好きを知らずして、何故愛してるをしってる!?
「どこで聞いたんだよ、」
「今朝、女中さんが、副長に言ってた」
「、、、好きよりも、もっと上の、特別なやつ」
___________ピンポーン
「おっ、噂をすれば、大串君じゃない?」
そう聞いたは、吹っ飛んだ。
______ガララ
「副長!」
「誰が外出許可だした!ったく、、、やっぱ此処か」
「副長!」
「テメェは今さっきから、そればっかか!っつーか、万事屋のヤローは?」
「副長!」
「んだよ!」
「大好きです!」
「、、、」
「、、、ふくちょー?」
「、、、お、、おまえ、」
「銀ちゃーん、ダメだった!副長笑ってくんない!」
抱きついたは俺から離れ、家の中に入ってしまった。
俺の思考は其処で停止。
好き?どう言う意味だ?マシュマロが好きなように、俺も好き的なアレか?
っつーか、アレってなんだ?
俺は、回れ右をして、手すりに頬杖をついた。
開きっぱなしの扉の奥から、の声とヤローの声が聞こえたが、内容までは頭に入らなかった。
空は、晴れている。
雲ひとつ無い晴天。
晴れた午後2時ちょっと過ぎ。
俺の顔は、真っ赤に違いない。
「あー!マヨラの顔、真っ赤アルよ!」
家の下にいた、チャイナ娘にそう指摘され、もっと顔が赤くなった。
[愛おしくて、愛おしくて、此処から見渡した景色全部、お前色に輝いた日。]