きっと、それは
お前なりのゴメンなさいの意。


朝、非番だってのに9時ごろに電話が来た。
それで起きた俺は、もしこの相手が山崎だったり、沖田だったりしたら、
どなってやろうと思った。
勿論、を含めて。



「はい、」
「ほォ、やっぱりそうか」
「あ゛?」

思考回路がまだ上手く回らない。
頭に駆け巡るのは、まだ大半が寝ることで。
朝っぱらから、が屯所を出ていたという事を昨日の寝る間際に言われていた俺は、
その時すっかり忘れていた。

「テメェ、副長の俺に非通知設定たァ、良い度胸じゃねぇか!間違い電話なら1秒以内に切れ」
「お前さんのところのネコを預かってんだがなぁ?」
「あ?誰だ、テメェ。 第一、ネコはが昨日持ち主に返すって、」

こいつの言ってる猫は、何のネコだ?

「その猫じゃねぇがなァ? しいて言うなら、お前によく着くヒヨコか?」

今日、は出かけていて。
猫の持ち主を返しに行くといっていた。
でも、この声は、どこかで聞いた事のある、声。
受話器からもれる殺気と重い空気。
この前、折角裏路地で出くわしたってのに、逃げられた、凶悪犯罪テロリスト。
ヒヨコってのは、きっとの事。
鈍臭いあいつの事だ、ふいよ、ふいよと知らぬ人について行ったのだろう。


「あー、やっと頭が起きたぜ。 テメェ、高杉だな?」
「まぁ、来島の猫ァどうでも良いが、そっちの猫はどうでも良いわけにもいかねぇだろう?」
「あたりめーだ、どこに逃げやがった、アイツ。」
「しらねぇなぁ? こちとら犬の番号を知れただけで十分だ。」
「明日には即効番号変えてるからな、」
「そりゃァ、残念だ。 折角デートに誘ってやろうとでも思ったんだがなァ?」
「テメェと一緒に地獄巡りなんぞ、地獄の極楽でも嫌だな、」

ぶつり、と一方的に通話を終了させた。
ため息が、やけに部屋に響いた。

ふと気付いたら机の上に、1個のマシュマロがあったのが、可愛くてにやけた。



「ったく、可愛い猫だな、」




俺は、軽く羽織をはおって顔を洗った後
非番にもかかわらず、刀を帯刀。思い当たる場所を洗いざらい探しに屯所を出た。