不良といえど、頭は良く。 クラスでトップを争うトシとは、結構いがみ合っていた。 席替えで、隣席になったと言う、ベタさ。 まぁ、毎日授業には来ない。(だが、カバンだけがそこにある) 珍しく数学にでてきた彼は、シャーペンの頭で、アタシの二の腕を突いた。 痛くも、かゆくも無いが、アタシは鬱陶しく感じ突いた当の本人を見た。 ノートを貸して欲しいらしい。 今までの全教科。 ああ、ノートね。 数学はダメだよ、だって、今取ってるもん。 そう思い、先生が黒板へ向かっている間にアタシは机の中に在った全教科のノートを隣の人に渡した。 ああ、明日には返してね。 そう薄く現国ノートの上に書き足し、アタシは数学のノートを取るのに没頭し始めた。 次の朝、机の上には、昨日彼に貸したはずの全教科ノートが置かれていた。 机の中に入れて置いてくれてもいいのにな、と思いパラパラとページをめくる。 一番上にあった歴史のノート。 最後に書いたのは一昨日だっけ。 その一昨日のページの最期には、下手糞な落書きがあった。 不恰好といえば、不恰好で、決して上手いとは言えない黒猫が書いてあった。 少しだけ、可愛いなと思い消せなかった。 |