腕を組んで、他の男と買い物をしている姿を、日曜日の午後3時35分、偶然にも彼氏;高杉晋助に見られた。 死ぬかと思った、殴られるかと思った、が、プイッと背を向け、去ってしまった。 なにもされなかった。 それが、逆に怖い。 月曜日、朝のHRが始まる5分前。 ケータイにメールが入ったと思えば、晋助からで、それは呼び出しだった。 屋上へつなぐ廊下を恐る恐る上った。 キィと錆びた音を立てて空いたドアに、振り返った晋助はズンズンと音を立てるかのようにしてコチラへ近づいた。 もちろん、身構えるアタシに晋助はただ抱き寄せただけだった。 「昨日、アレ、ごめん、アレさ、 「気にしてない、黙ってろ、今は」 「・・・う、ん」 言えない。 昨日の男が、「お兄ちゃんだった」だなんて、言えない。
だって、妬いてる晋助の背中がいつもより可愛く見えるんだもん。
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