地獄の連続。
救世主なんていない。
終わりゆく世界は、せめて綺麗な物が良いから、
こんな綺麗で雲ひとつない空は、
すべての始まりと終わり。だったり。そうではなかったり。
唯一いてくれたヒーローとやらは、部活の遠征とやらで傍に居なかった。
一緒に行きたかったけれど、20人いる部員の中で、一人しか味方がいないと心細いし、
きっと行っても同じ地獄だ、と思いきっていたからだ。
ある日のトイレで、聞こえた話は、私のあるはずの無い心に重傷を負わせた。
「土方君さぁ、最近に、付きっきりだって、知ってた?」
「遠征前に、屋上でソレと土方君が会ってるの、見たわよ」
「マジで、あり得ない。というか、土方君って、何? ソレを助けてんの?」
「知らないアルなぁ。 そんな話。 マジでか?」
「そういえば、まぁ、よくうちらの悪戯に耐えられるなぁと思ったら、マヨラ―かぁ」
「どうしましょう?」
「まぁ、銀八の命令だしさ。 ソレ助けてるんなら2人とも殺っちゃえば?」
銀八という、単語が出た瞬間、目が真っ白になった。
2人とも殺っちゃえば、と聞こえた瞬間、死にたくなった。
多分、この先、どこに居ても
どんな場所でも、
どんな状況に立っていたって、
という名前の私は、
存
在
し
な
く
て
い
い
の
だ
。
そんなおしゃべりな人間が、トイレから出たことを確認し終わり、
私はざわざわと騒ぎ始める昼休み終盤の学校の廊下を走った。
土方君、今日のお昼前には帰ってくるって言ってたのに。
帰ってきたら、いっぱい、話したいこと、あったの、に。
どうしてか、な。
て、が、震え、る。
ちい、さ、な。 フェン、ス、に、手、を掛け、た、瞬間。手が、震えは、じ、め、た。
目に見える、手、は、小さな、サインを、出して、いるよう、だ、った。
生きる、価値、が、ない、のに。
みんな、の、迷惑、
助け、て、く、れた、人、の、迷惑、に、なるならば、
死んだほうがましだ!
_______________________ドンっ!
荒々しく、開く、開放禁止の古い扉。
後方で、!と、私の名前を呼ぶのは、土方十四朗という名前の3-Z男子生徒だけ。
歩く音、
「校庭から、屋上に居るお前が見えた」
そっか、目、土方君、良いもんね、
「なぁ、何やってんだよ」
竹刀を落す音、
鞄を落とす音、
私が落ちたら、どんな音?
「死ぬな!」
グイッ、と手を引かれた。土方君の手は、大きい。
「なんでだよっ!」
それはね、それはね、それはね?
それはね、
土方君が、
手を握っているからだよ。
それは、無神経に、私に地獄を告げているんだ。
そう告げたら、
土方君が、
「そうか、」
と、始めてみた笑顔で、
けれど、悲しそうな顔で
私の命に手を離した。
【土方君は、何時までも生に諦めなかった事。】
2011/02/08-->修正2010/02/21
随分と昔にリクエストでいただいた、土寄りの女主自殺話。
たしか、題名が just so you know. だったようなきがする。
再録というよりも、その設定をもう1回使っただけ。