ふと、見渡せば、其処には。

死体だらけの戦場。









死んだ









後ろに居たはずの、晋助と、銀が居ない。

ヅラは今日、情報収集の日だから戦場に居ないし。
辰馬は、何時しか宇宙にトンで行った。

刀についた血は、振り下ろしても、落ちない。
服についた返り血は、洗っても、落ちない。

敵が周りに居ない事を良い事に、アタシは、鞘に刀を納め、死体だらけの戦場を出た。

カチンと、乾いた音だけが、戦場に響く。

血止め薬は、どっかに落としたから、無い。
歩けば歩くほど、血は出るし、血の足跡も出来る。

寺子屋への道のりは、戦場から、遠くは無い。
森林を通って帰れば、背後を気にすることも、無くて済む。










銀「おーい。 馬鹿。 何してんだ」
「・・・・あ、銀」
高「…また一人で、暴れてたぞ、お前」
「マジでか…気を付けてるんだけどなぁ…」


馬鹿と呼ばれ、後ろを振り返ったら、銀と晋助が、居た。



「っつーか、腹減った」
銀「…今日の飯当番、ヅラだったっけか」
高「俺ァ、パス。 飲みに行く」
「あ、ズルい」
銀「・・・二日酔いとか、マジで勘弁しろよォ! 只でさえ、兵が足りねぇんだから」
「アタシも行く!」
高「未成年だろ。 餓鬼が」

手をひらひらさせて、晋助は、来た道を、アタシ達よりも先に歩いた。

「あんだと、鬼畜がァァァアアア!!!」
銀「…まぁ、落ち着け! 確か、今日はヅラがハンバーグとか言ってたような・・・・


晋助を追いかけようとした所を、銀がアタシの手を掴み、阻止した。
アタシは、渋々晋助を追いかけるのを止めた。

「肉…食う気しないけど…」
銀「…まぁな」





重い空気のまま、銀がアタシを背負って寺子屋までの帰り道を歩いた。
日はまだ、高く上がっている。 昼にはなる。




銀「・・・いっつも言ってるだろ? 血止め薬持てろって」
「・・・どっかで落とした」
銀「・・・・ハァ(汗」
「…眠いよ」
銀「…傷の手当してから、寝ろ。 っつーか、最近お前太った? 重くね?」
「・・・多分太った」
銀「…ハァ…」
「・・・刀手入れしなきゃ。 服も、血だらけだよ」
銀「…さぁて、着いた。 降りろ。 銀さんの素晴らしい腕が、もげちまう」
「…黙れ」
銀「さぁて、消毒水っと〜。 早くしろよ。 手当てしなきゃ、傷口化膿する」

「・・・・・・・うん」



そっと、暖かかった銀の背中から降りて、寺子屋の玄関先まで向かった。
銀の背中は何時見ても、大きい。



銀「・・・何してんだ? お前」
「…別に」


其の背中を追いかけるようにして、アタシは寺子屋に入った。


「ただいまぁ〜!!!!」





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