倒れたまま、相手を見上げる。
体中が、痛い。








死んだ










松「おい、女。 感謝しろよ? 幕府にだけは渡さないで置いてやる。
 今、幕府に捕まれば、もれなくお前の首と体が、バラバラになる。
 理由ぐらい知ってるだろう?」
「・・・白夜叉はどうなる」
「・・・松山先生の実験台になるんだ」
松「・・・成功すれば、お前の目の前にまた現れるかもな」
「・・・失敗すれば?」
「死ぬに決まってるだろう」






目の前に、放置された銀は、目を閉じたまま。 ビクともしない。
白い羽織は、くすんだ灰色と、返り血で染まってる。
白い鉢巻も、汚れてる。
銀の手に握られた刀は、血が少し付着してる。
もし、今。 アタシが、立ち上がれてたら。 こんな相手、斬ってた。
銀をこんなにした、相手を斬ってた。 だけど、そんなのも叶わない。
痛すぎて、立ち上がれない。
刀が傍にあるのに、握れない。










「・・・・成る」
松「あ゛ぁ?」
「・・・」
「実験台になるから、白夜叉だけは、生かせろ」
松「・・・お前なんか、使い物にならん。 見ろ、白夜叉を。
 最も天人に近い容姿だ。」
「・・・・・何でもするから、銀だけは寺子屋に返せ!」
松「・・・・銀? 誰だ。 白夜叉の事か?」
「・・・銀?」
松「女、こいつの本名を言え」








其のときは、とっさの事で、昔、散々言われてきた言葉を忘れた。
[苗字には、気をつけろよ? 銀時もそうだ。]
頭の中が、グチャグチャで。
つい、言ってしまった。






「坂田銀時」
松「・・・おい」
「はい・・・」



後ろで控えていた天人は、すぐさま傍にあった本を開いて、ページをめくった。
何かの名簿らしい。 五十音順に、ひらがなが並んでる。





松「お前の名前は」
 
「・・・ありましたよ。 坂田銀時と。どれも、随分前に逃げた奴等です」
松「・・・」
「如何するんですか? 一体までの用具しか、無いのに・・・」
「何の事だ!」
松「・・・お前等2人が、その随分前に消えた俺の実験台の013 と 014だ」
「・・・・」
松「・・・天人と人間のハーフは、より良い実験結果が得られる。
 俺は、ソレの欲しさに、俺は天人と人間のハーフを抑えていたんだが。
 逃げたのはお前等か」
「・・・どういう意味だ!」
「お前等は、もともと、松山先生の実験体って訳だ」
松「・・・まぁ、良い。 どうせ、またこうして手元に戻ってきたんだ」
「・・・・じゃぁ、銀・・・白夜叉も実験体になるのか?」
「安心しろ」
松「用具は、一回きりしか無ぇ。」










知らないところで、世界は廻る。











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