「俺は、お前の側にずーっと居る」
「そーなの?」
「そーなの」
「何で?」
「それは、お前・・・・・・・・・
死んだ魚
目隠しされて、手も縛られて、その男達に強制連行された。
多分、目覚めたら、どっか、違う場所に居るんだと思う。
そう、思いたい。
アタシは、意識を失ったまま。
昔の夢を見た。
◆
銀「俺は、お前の側にずーっと居る」
「そーなの?」
銀「そーなの」
「何で?」
銀「それは、お前・・・・・・・・・
お前が、バカだから、一人じゃ何にもできねぇだろ?
雷鳴った時も、泣いてたし。
この前なんか、停電しただけで、叫びやがるし。」
「・・・・」
年はまだ、アタシが、5歳頃。
母親達に捨てられて、幾年は経った。
アタシ達は、盗んできたご飯で、何とか活きていた。
と言っても、盗むのは、銀時。
アタシは、家でお留守番。
ある日、アタシ達は、2人で、盗みに出かけた。
目当ての物は、駄菓子屋さんの、青い飴。
銀「・・・オイ、。 アレ、欲しいのかよ」
「うん・・・
だって、皆、おいしそうに食べてる」
昨日、少し篭った家から、出たら。
近所の子達が、青い飴を食べてた。
でも、近くで、雷の音がして、直ぐに家に入ったけれど。
銀「・・・皆って、近所の奴等?
だめだって。 あいつ等の事信用しちゃぁ。
俺等の事嫌ってるんだぜ? それに、この前、苛められたばっかじゃねぇか。」
アタシ達は、嫌われてる。
何処からかは知らないが、いつしかアタシ達が、天人と人間のハーフだという噂が、流れ始めた。
多分、銀時の髪の毛の色と、アタシの目の色を見た、近所のオバサンがそう思ったんだと思う。
「・・・でも、欲しい」
銀「・・・じゃぁ、ここで待ってろよ? 俺が、盗み終わったら、家まで、走って帰るからな?」
「うん。」
銀時は、そのまま前に進み、店に入ろうとした。
「・・・面白そうな話だな? 何の話ですか? 盗み? 盗みなのか!コノヤロー」
_____________________ガシッ!!!
・銀「「!!!!!」」
銀「・・・てめっ!!! 離せ!!! 離せよ!!! ロン毛!!!!」
銀時は、後ろから行き成り現れた人に、後ろ襟を、掴まれた。
「・・・・ここで何をしてんだ? 盗みだなんて。物騒な」
「・・・盗み聞きしてたの?」
「・・・・ちょうど、晋助達に、お菓子を買おうと思ったら。
盗みとか言う単語を、会話に聞いちゃあ、 止めなけゃ、なんねぇからな」
「・・・」
そう、言い終わった後。
その人は、銀時から、手を離した。
________________ドサッ!!
銀「・・・・」
「だいじょーぶ? 銀」
アタシは、尻餅をついた銀時に駆け寄った。
銀「・・・帰るぞ、」
「・・・うん」
アタシ達は、そのまま、何も盗めないまま家に帰った。
「・・・ご飯、どうしよっか。」
銀「腹、減ってんのか?」
「ううん。全然」
家には、何にも無い。
辛うじて、さびた刀と、ボロイ傘。
大きい布団が、一つ。
アタシ達は、何も食べることなく、布団に入った。
________________________グゥ〜
「・・・」
銀「・・・・」
二人のお腹が、偶然にも同時に鳴った。
「・・・今日の人、なんだったんだろう?」
銀「興味ねぇよ。 ったく、ゴメン。 飴・・・」
「いいよ。別に。
明日は、別のもので。 ご飯食べたい。 飴は、もう良いや。
盗むんなら、マシなもの、盗んだほうがいいし。」
そう言って、アタシは、隣で寝ている銀時の手を握った。
銀「! 手ぇ、握んな! 暑苦しい」
「だってぇ!!!!」
銀「・・・んだよ」
「明かり・・・が・・・・無い・・・から。 ・・・・恐い・・・」
銀時は、その後ため息をつきながらも、アタシの手を握り返してくれた。
次の朝。 アタシ達は、朝っぱらから出かけた。
ここ数日。 何にも食べてない。
銀時の好きな糖分愚か、ご飯粒一つも。
銀「・・・盗みやすい所、無ぇな」
「・・・・・どうする? 死んじゃうの?」
アタシ達は、朝の賑やかな路地を、彷徨ってた。
店からは、煙が出て、良い匂いがする。
お金さえあれば、お店に入って、お金を払うのに。
銀「・・・・んだ? この匂い・・・・」
「・・・甘い?」
そっと匂いのする方向へ進んだら、その煙は、ある店から出ていた。
窓からこっそり、何を造っているのか見た。
銀「・・・美味そうだな。 おい、あの飴ん中! 顔が書いて有るぜ?」
アタシは、頑張ってやっと、中が見えたが、一気に来た、煙で詳しくは見えない。
「・・・みっ・・・見えない・・・」
銀「・・・ったくしょーがねぇな。 ほらよっ!」
そういって、銀時に負ぶってもらった。
「・・・ほんとだ。 何か顔が有る。」
「こら! 何してる!!!!」
店の玄関から、店主らしき人が怒鳴った。
その声にびっくりして、銀時がひっくり返ってしまった。
「・・・」
「んだ・・・・・餓鬼か。 何してんだ、こんなところで。帰れ」
銀「おい、ジジイ! 飴、くれよ!」
「あぁ?」
銀時は、手を伸ばして、飴を求めた。
「いいじゃないの、貴方。 一個ぐらい」
あとから、ノレンを持った女の人が、笑いながら出てきた。
「ったく・・・一個だけだぞ?」
そう言って、飴を2コくれた。
銀「・・・ジジイ・・・コレ2個だぜ?」
「女の子にも、あげな。 造りたての、金太郎飴だ」
受け取った金太郎飴を、持ってアタシに手渡してくれた。
銀「ほら!!! 金太郎飴だってさ」
「・・・可愛いね」
アタシは、それを受け取って、口の中に入れた。
口の中には、途端に甘さで一杯になった。
アタシは、飴をくれたおじちゃんに、お辞儀をしてから
銀時と一緒に、朝の賑やかな路地を徘徊し始めた。
銀「・・・にしても、コレ。美味ぇな」
「うん」
アタシが返事をした後、 銀時は行き成り立ち止った。
銀「おい、。走れるか?」
「・・・走れるけど・・・なんで?」
銀「昨日の変なヤローだ」
「あ」
目の前に歩いて、こっちに向かってくるのは、昨日、銀時の裏襟を掴んで
盗みを阻止した、男の人。
銀「やべっ!! 気づかれた! 逃げんぞ!!! っ!!!」
アタシは、手を引かれ、そのまま逃げようとしたけど
やっぱ、子供と大人じゃあ、足の速さは違う。
__________________________ガシッ
「何で逃げんだよ、お前等」
相手は、アタシの手を掴んだ。
銀「の手を、離せ!!!!」
「無理な事だな。 こんな朝っぱらから、何してる。 子供が遊ぶ時間は、夕方だろうが。
親は居ねぇのか?」
「居ないよ」
銀「!!!」
「え!!!」
銀「言うなよ!!!」
銀時が、そう叫んだ後、相手は、思いもよらない事をいった。
「親が居ねぇんなら、丁度いいじゃねぇか!
俺の、寺子屋、来るか? 俺ぁ、身寄りの無い子拾って、寺子屋開いてんだ。
飯は三食食えるし、剣術だって教えてる。 どうだ?」
「どうする? 銀時」
アタシは、もう、どうだって良かった。
どうせ、あの家で、待ち続けても、お母さんは来ない。
明かりの無い家で、銀時とずっと暮らしてくのは、ちょっとキツい。
この頃から、アタシは直ぐに諦める。と言う癖がついたのかも知れない。
銀「・・・・・・ついてく」
「よしっ! 決まりだ! 俺ん名前は、松陽ってんだ ヨロシクな!」
そう、あっさりと決断した後。
銀時が、一度家に戻りたいというので、戻った。
あの、古びた刀を、持って行きたいらしい。
だけど、家帰る路上で気づいた。
家の前に、誰かいる。
しかも、天人。
銀「・・・・おい。アレ、誰だよ」
「・・・・天人?」
松「・・・・開国派の奴等だな、ありゃぁ。
あそこか? お前等の家ってのは」
アタシ達は、肯定する様に首を縦に振った。
松「・・・行かないほうがいいな。
あいつ等に関わると、厄介だ。 明日また、来ればいいじゃねぇか。」
「・・・・」
銀「・・・・ちぇっ」
その後、その松陽先生の寺子屋へ行った。
結構大きい場所で、生徒達らしき子達が、庭で遊んでた。
その人が帰ってきただけで、庭で夢中に遊んでた子達が、駆け寄ってきた。
桂「先生!」
晋「おい、先生に何してやがる、ヅラ。 しょっぴくぞ。コノヤロー」
アタシは、少し恐くなり、銀時の後ろに隠れた。
松「新しい子だ。 名前は・・・・聞いてなかったな。何て言うんだ?」
銀「・・・銀時。」
「・・・・」
銀「・・・コイツは、」
アタシは、こっそりと銀時の背中から顔を出した。
皆、興味深深な目で、アタシ達を見てくる。
アタシは、銀時の背中から、目の前に居る子達を見てた。
見るからに、普通の人間。
近所に居たような、子達ばかりで、
アタシ達のような、天人と人間のハーフなんて見当たらない。
「おい、お前。女!」
アタシは、男の子に指を指され、びっくりした。
「!?」
「・・・・お前の目、色がちがくね?」
「・・・」
銀「・・・」
「この男に限っては、髪の毛の色、銀だぜ??」
銀「・・・」
その後、皆に指を差され笑われた。
「関係ッ・・・・・無いじゃん・・・」
銀「・・・・」
松「さぁて、笑っている暇はねーぞー? 授業が始まるんだからなー」
そう言った後、松陽先生は、先に中に入ってしまった。
玄関先に取り残されたのは、アタシと銀時だけ。
「ねぇ、銀。 アタシ、ココに居たくないかも知れない」
初日から、こんな扱い。
行く先不安だ。
髪の毛の色だけで、判断されて。 目の色だけで判断されて。
銀「でもよぉ、帰るにも、帰れねぇだろ。
家には、変な天人が、待ち伏せしてるかも知れねぇし・・・」
アタシ達は、玄関先で、
先に中に入ってしまった皆の背中を見ながら、立ち竦んでた。
好きで、天人と人間のハーフで生まれてきたわけじゃない。
銀「・・・・安心しろって。 あいつ等が、苛めてくんなら、俺がお前を守るし・・・
それに、あの人。俺等の事拾ってくれたし・・・」
「・・・」
黙ったまんまのアタシの手を引いて、銀時は、中に入った。
銀「守ってやるから・・・。 安心しろよ」
その日以来、銀時は、何時も側にいた。
不器用な優しさで、アタシを守ってくれた。
その次の日は、松陽先生と一緒に、家に帰った。
家には、昨日来てた天人は居なかった。
銀時は、お目当てのぼろい刀を握ると、嬉しそうな顔で、寺子屋に帰った。
「・・・そんなの、ボロくて使えないよ。きっと」
松「そんなに好きなら、刃の部分だけ、新しいのと替えてやろうか?銀時」
銀「マジでか??」
松陽先生の言葉に、パァっと顔を明るくした銀時。
松「ただ。それで人は斬るな。
お前には、まだ早すぎる。 第一、稽古もつけてねぇんだ」
銀「だったら、先生が付けてくれよ! 稽古!」
「・・・」
松「んじゃぁ、明日から、晋助達と一緒に練習すっか?」
銀「よっしゃっ!」
松「・・・は?」
アタシは、ボーっとしてた為、反応に遅れた。
「・・・へっ?」
銀「も、稽古すんの?」
「・・・・してみよう・・・かな」
アタシは、興味半分。 稽古をする事にした。
それ以来、授業はサボって、剣術の稽古だけは、真面目に受けた。
そしたら、案の定、松陽先生に怒られた。
松「お前等なぁ。 稽古も大事だが、教科書開くのも大事だぞ!」
「だってぇ・・・ めんどくさい」
銀「第一、武士道ってよぉ
一人一人、違うんじゃねぇの? ルールとか。 お膳立てされたのじゃぁ、つまんねぇし」
アタシ達は、夕方、居残りをさせられた。
目の前に有るのは、一度も開いた事の無い、教科書。
先生に没収されたのは、銀時の愛刀と、アタシの木刀。
銀時は、その愛刀を何時も持ってる。 授業中でも。
遊んでるときでも。
それが、宝物だって。 直ぐに分かるように、大事にしてた。
松「・・・アレな。 教科書一度全部読んだら、コレ、返してやる」
と、言われたが。
銀時は、我慢できなくなり、
次の日、 松陽先生の部屋から、 アタシの木刀と、 銀時の真剣を盗んだ。
松陽先生も、懲りたらしく。 教科書云々は、 もう言わなくなった。
銀時の髪の事や、 アタシの目の事については、 よく他の子にからかわれた。
でも、その度に、 銀時が、 殴って、 終わり。
言われて、 殴って、 終わり。
その繰り返しだった。
段々、寺子屋に慣れてきた頃。
アタシ達に、悪友とも言える、友達が出来た。
心の広い、桂 もとい ヅラ と
心の狭い、高杉 もとい 晋助。
いっつも、授業が終れば、この2人と、アタシと銀とで、遊んだ。
それが、アタシ達と、松陽先生、晋助、ヅラとの出会いだった。
◆
アタシは、落ちたような衝撃で、目を覚ました。
「・・・いっつぅ・・・」
肩が、微妙に痛い。
目隠しと、手錠は、外されてる。
アタシは、隣で立ってるだろう、男を見た。
そして、その後。 目の前を見た。
「よく来たな。 014」
「もとい、最終実験体、。」
「・・・誰?」
松平「・・・天道衆だ。」
「おじさん。誰?」
松平「警察庁長官 松平 片栗虎」
「知らないな。 そんな人」
アタシは、まだ起きない頭を振って、立ち上がった。
「黙らんか。 お前」
「・・・」