ある晴れた日の、江戸。
騒がしい、屯所での出来事。
死んだ魚
今日の朝の真選組は、騒がしかった。
松平が、来たからだ。
その松平が、向かった先は、近藤の部屋ではなく。
土方の部屋。
昨日、天導衆が、言ってた [014に近い年齢の男] と言うのは、土方の事だった。
彼の、沖田は、年齢が近いが、この任務は、似合いもせず。
松平は、沖田を選ばずに、あえて、仕事に真面目な土方を選んだ。
「って、訳だ。
昨日っから、 知らない の一点張りでな。
年の近いお前が相手なら、口を割ると思ってよぉ」
「って、訳だって、言われたってよ。
俺ぁ、会ってるぜ? その女に。
第一、拘束したとき、会ってる。
俺に対しての第一印象も、最悪だろうよ」
「こっちには、人質が居る。
そいつを出せば、口を割るかもな。
だが、その前に。 トシ、お前に頼んだぞ」
実を言えば、014拘束した時、もう既に会っていた。
勿論、それを松平は知っている。
「人質使って、口を割らせれば良いじゃねぇか」
そう、思って、土方はそのまま、思った事を松平に言った。
「人質つかうのは、最後の手段にしたい。
それによぉ、これが成功しなければ、俺ぁ、腹切らなきゃならねぇ。
しくじるなよ」
「・・・・わかったよ」
真選組の上司の者が、切腹となれば一大事だ。
土方は、しぶしぶ了承した。
「明日、朝方、この紙に書いてあるところに来い。
自分の身分証明書、見せりゃぁ、入れてくれるだろうよ」
松平は、その紙を、土方の目の前に投げ捨て、部屋を出て行った。
部屋に残った、紙とタバコの匂い。
「・・・・・ハァ」
土方はため息をついた。
(俺が行っても、口割らねぇと思うけどな・・・)